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伝送路の広帯域化やセンター設備の省スペース化を図るCATV伝送システム【シンクレイヤ】

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 シンクレイヤは、光伝送路の冗長化や既存HFCの併用、集合住宅への対応が可能な同社独自のFTTHシステムであるR-PONを例年展示している。同社は10G級PON方式に関して10G-EPONとXG (S)-PONの2つを提供できる強みがあり、独自開発の統合管理システムも含めて業界で定評がある。今年は展示テーマを「over10G R-PON プラス 4K/8K」としており、10G、そしてその先にあるロードマップや、8Kを見据えた製品群を含め、最新のソリューションを紹介するという。
 センター系機器では冗長システムや3U/1U光サブラック、加入者系機器では棟内型光ノード、光端末器を展示。HFCシステムでは、低消費電力型アドバンスHFCシステム(光ノード、TBA、MB)や広帯域対応EA等を見ることができる。
 その他の注目製品として、4K/8K対応の新型BSトラモジシステムや、4K対応STB、BS/CS左旋対応製品、Wi-Fiソリューションや防災情報伝達システムの最新モデルも展示される。
 また、展示内容とリンクしたセミナーとして「over10Gを実現する次世代PONシステムのご提案」と「高度BS放送(4K/8K放送)対応の技術的課題とシンクレイヤの4K/8K対応最新機器のご提案」の二つも予定されているので、最新技術や将来展望について、より理解を深めることができる。

over10G R-PON プラス 4K/8K

 シンクレイヤはPONシステムの冗長化を業界に先駆けて提案した企業であり、そのノウハウには一日の長がある。同社独自のR-PONシステムは、センター内機器や伝送路の冗長によりネットワークの強靭化を実現。伝送路で故障が発生した場合に自動的にバックアップルートに切り替わるので、FTTHのメリットを活かしながらHFC以上の信頼性を担保している。光増幅器、スイッチ、モニターといった機器がセンターに集約されることから、伝送路に電力を必要とする機器を設置する必要もない。
 シンクレイヤは三菱電機社のGE-PON(1.25Gbpsおよび2.5Gbps)と10G-EPON、そしてHuawei社のG-PONとXG-PON、XGS-PONという様々な方式のPONシステムを扱っており、CATV事業者の予算、要望、エリアの状況をヒアリングし、最適なPON方式でR-PONシステムを提案している。シンクレイヤ営業企画部 次長 兼 パブリシティ課 課長の高橋誠氏はFTTHシステムの需要について「2020年の東京五輪、そして今年12月の新4K8K放送開始に向けて、非常に活発になっている。現状は1.25Gbpsや2.5GbpsのPONシステムをご採用いただくケースが多いものの、そうした事業者様は通信トラフィックの増加や4K放送のIP伝送への流れも見据えて10Gも意識されているので、今後の10G対応を含めたご提案をしている」とし、「一方で、既に10G級のPONを採用されている事業者様も増えており、10G-EPONとXG-PON の両方で導入実績が伸びている。現状のサービスは1Gや2.5Gがメインであり、将来対応を考えて10Gサービスを提供できるシステムをトライアルのような形で導入を進めていらっしゃるので、今後もOLTや端末の出荷数量が増えると期待している。また、もともとFTTHを導入していたCATV事業者様が10Gにマイグレーションするケースだけでなく、HFCからFTTHに移行した際に10Gをご採用されるケースも増えている」と話す。
 今年から新しく展示されるHuawei社のOLT「MA5800」シリーズは、XG-PON (下り10Gbps/上り2.5Gbps)とXGS-PON (下り10Gbps/上り10Gbps)のサービスを提供しながら、同じシャーシのままで将来的に40G/100Gのサービスを併用できる製品だ。XGS-PONの光端末も併せて展示するという。高橋氏は「新たにご提案する上り10Gbpsという大容量に関しては、一般ユーザが動画をアップロードするという世の中の流れもあるので、将来的な対応ということでCATV事業者様からご注目いただくケースが増えている」と話す。

既設の設備を流用したFTTH集合住宅対応システム

集合住宅対応システム用 屋内型CMC「MA5633-XB10」

 「over10G R-PON プラス 4K/8K」の集合住宅取り込み手法に対応し、HFCシステムでも運用可能な最新の屋外型/屋内型CMC(Cable Media Converter)が紹介される(Huawei社製)。従来のDOCSIS技術を基に、FTTH移行時の戸引き配線が難しい集合住宅でも既存の設備のまま取り込むことができる。上位接続はギガビットEthernetかPONのSFPで接続。棟内の上り流合雑音の影響範囲はCMC配下のみに抑えられ、SNRが改善されることから高速な変調方式を選択できる。非常に小型の製品ながら、200台以上のケーブルモデムを収容できる。シンクレイヤは日本のCATV事業者へ提案するにあたり、ソフトウェアのカスタマイズなどで扱いやすくしているという。また、屋外型はKDDIケーブルプラス電話とSoftBankケーブルライン電話、屋内型はKDDIケーブルプラス電話の認定対応が済んでいる。高橋氏は「CMCはVDSLよりも高速なサービスを提供することができ、伝送距離に関係なく安定した伝送速度で通信が可能だ。屋内型は昨年リリースしたばかりだが、順調に売り上げが伸びている」と話す。

統合管理システム

 統合管理システム「SIMS-6300」は、光ヘッドエンドやV-ONUの管理だけでなく、GE-PON、G-PONやD-ONU、CMCなど、システム機器の管理を一括して行うことができる。
 同システムは各機能をモジュール化しており、必要な機能を選択できる点で高い評価を得ている。例えば必要な機能を絞った構成からスタートし、その後のサービス展開により必要となった機能をその都度追加していくことで、コストパフォーマンスの良い運用を実現できる。エリアごとにGE-PON系やG-PON系を使い分けている場合でも、このシステムで一元管理することができる。
 また、ブースではプロビジョニングシステム「SDPS-6000」やCMモニタリングシステム「SCMS-4800」も併せて紹介される。

対応ユニットが豊富な省スペースサブラック

 3U光サブラック「SFHS-7300」は、同社従来品の5Hラックに対して体積を49%ダウンし、高密度実装を実現している。多様なユニットを実装でき、HFC、FTTHの両方に対応できる。例えば、現行のHFCをFiber Deep化した後に、同じサブラックシャーシでFTTH化することができる。電源、伝送路、励起光源の冗長構成が可能。高度できめ細かな監視機能も備わっている。対応ユニットの主なラインナップは次の通り。

  • 光増幅ユニット(2,4,8port)
  • 1×2光スイッチ
  • 8+1光スイッチ
  • 光送信ユニット(1310nm、1GHz)
  • 光送信ユニット(1550nm、1GHz)
  • 光送信ユニット(1550nm、2.6GHz)
  • 光送信ユニット(1550nm、3.2GHz)※参考出展
  • 光受信ユニット
  • 光送受信ユニット

3U光サブラック「SFHS-7300」

DOCSIS3.1への対応

 ARRIS社のCMTS「E6000」 Converged Edge Router(CER)は、DOCSIS3.1に対応した製品。下りカードDCAM-2はスロットあたり合計16個の物理ポートを提供する。各物理ポートに対してダウンストリームRF帯域を1.2 GHzまでサポート。また、上りカードUCAM-2は、各物理ポートで平均12個のSC-QAMと2個の96 MHz OFDMAブロックをサポートする。全てのコンポーネントが1+1 もしくはN+1の冗長性を備えており、ヒットレスRFスペアリングやホットスワップも可能だ。

BS・CS-IF帯域 CNR改善型低受光光端末機

低受光型光端末器「SOR-807R(04 0C)」

 光端末機の新製品「SOR-807R」は、BS左旋信号である16APSK(9/10)の所要性能17dBを満たすため、CNRを同社従来機に比べ3dB改善している。また、同様のコンセプトに加え、Wi-Fiからの電波をブロックする高シールド構造を採用した「SOR-806R」も紹介される。高橋氏は「通常のご使用ではSOR-807Rで問題ないが、最近では集合住宅の分電盤内にWi-Fiルータと映像の光端末機を設置するケースが増えており、あまりに近づけすぎるとWi-Fi電波の影響により、映像に障害が出る可能性があることから、シールド対策したSOR-806Rの需要がある」と説明している。

様々な無線ソリューションを展示

 ブースではIEEE 802.11a/b/g/n/acに対応した屋内型/屋外型APと無線LANコントローラを展示。また、見守りコンセント「WiFi-Plug」や、無線アクセスポイントやネットワークカメラにPoE給電が可能なSFP対応屋外型PoEハブも併せて紹介される。高橋氏は「こうした無線製品は、自治体と提携しているCATV事業者様を中心にご採用が増えている。一度ご採用頂くと、少しずつ追加のご注文を頂く傾向にある」と話している。
 Ruckus Wireless社の無線LANアクセスポイントは、ビーム形をダイナミックに変えることができるスマートアンテナ(特許技術)が特長だ。屋内型/屋外型のAPとブリッジシステムをラインアップしており、ブリッジシステムはWi-Fi規格ながら約10kmの長距離を伝送できるユニークな製品。高橋氏は「プロモーションビデオを交えて海外での導入事例をご紹介する」と話す。
 見守りコンセント「WiFi-Plug」は、様々な家電の消費電力をクラウドへ送信することで、高齢者の見守りに役立てるソリューション。例えばテレビや冷蔵庫、電気ポットなどの電力使用量を、高齢者の家族にメールで通知できる。閾値も自由に設定が可能だ。

PoE給電が可能な屋外型ハブ

 SFP対応屋外型PoEハブは、無線APやネットワークカメラ等への給電を想定した製品。同軸アンプの防水ケースを流用した頑強な筐体で、メディアコンバータを搭載してIP経由で通信することもできる。高橋氏は「河川監視や防犯用のネットワークカメラなど、地域に貢献する用途でお使いいただく事例が増えている。また、屋内型の通信機器をこのケースに入れることにより屋外での使用が可能となるので、コストを抑えることができる」と話す。

業界最小の告知放送システムに機能を追加

 シンクレイヤは20年以上に亘り告知放送システムを提供している。気象庁の緊急地震速報や気象警報・注意報、津波警報、全国瞬時警報システム「J-ALERT」に対応する告知放送端末「AFM-600」シリーズを展示する。また、コミュニティFMを活用した緊急防災情報伝達システムの実演も実施される。高橋氏は「従来は3つのシリーズをご紹介していたが、この600シリーズにAMラジオ機能などを追加することにより、他シリーズの機能をほぼ集約し、コストパフォーマンスの改善に成功したことから、現在は600シリーズに絞ったご提案をしている」と説明している。

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